みなさんは米国高配当ETF「SPYD」について理解できていますか?
この記事では、SPYDの内容と特徴について、初心者の方向けに解説をしています。
この記事はSPYDの基本的な情報を網羅しています。この記事を読むことでSPYDに関する基礎はほとんど学ぶことが出来ます。
投資では正しい理解が正しく資産を増やしてくれます。投資を始める前に必ず知識を身に付けましょう。
この記事の要点は以下です。
SPYDとは?【基礎知識】
SPYDは、アメリカの上位500社のうち配当の高い80社の株から構成されたETFです。
下の表にSPYDの基本的な情報をまとめています。
名称 | SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF |
運用会社 | State Street社 |
設立日 | 2015/10/21 |
ベンチマーク | S&P500 高配当指数 S&P 500 High Dividend Index |
銘柄数 | 80 |
経費率 | 0.07% |
純資産 | 約79億USD(2023/01/25現在) |
SPYDの正式名称は「SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF」です。
S&P500の中の「配当利回り上位80社」に「均等分散」したS&P500 高配当指数に連動します。
※S&P500:アメリカTOP500社から構成された指数のこと。
SPYDに投資をすることでアメリカを代表する500社から選ばれた配当上位80社に均等に分散投資が出来ます。
SPYDの内容【セクター・銘柄】
SPYDの中身について、構成セクターと構成銘柄に分けて解説します。
構成セクター
SPYDを構成する銘柄のセクター(業種)割合は以下のようになっています。

様々なセクターから構成されていますが、金融セクターが1つで40%以上を占めており、割合に偏りが見られます。
構成銘柄
続いて、SPYDの構成銘柄について説明します。
下の表は、SPYDの構成銘柄TOP10を示しています。
No. | 構成銘柄 | セクター | 割合 |
1 | Paramount Global Class B | 通信 | 1.44% |
2 | Seagate Technology Holdings PLC | 情報技術 | 1.42% |
3 | UDR Inc. | 金融 | 1.36% |
4 | Packaging Corporation of America | 素材 | 1.34% |
5 | Essex Property Trust Inc. | 金融 | 1.34% |
6 | NRG Energy Inc. | 公益事業 | 1.33% |
7 | Omnicom Group Inc | 通信 | 1.33% |
8 | LyondellBasell Industries NV | 素材 | 1.32% |
9 | Lincoln National Corp | 金融 | 1.32% |
10 | KeyCorp | 金融 | 1.32% |
SPYDは全銘柄を同じ保有割合とする均等分散という方式を取っています。
したがって、80銘柄に各1.25%ずつ分散投資をしており、銘柄ごとの保有割合の偏りはありません。
SPYDの構成銘柄の入れ替え(リバランス)は半年に1度、1月と7月に実施しています。

ランキングが知らない銘柄ばかりなのは、各銘柄ほぼ同じ割合だからです。
SPYDの配当金【配当利回り・増配】
次はHDVの配当金について、配当金の重要な指標である「配当利回り」と「増配」の2つに分けて紹介します。
下のグラフはHDVの過去7年間(2016~2022年)の実績です。このグラフを元に解説をしていきます。
*SPYDは2015年10月に設定されたため、2016年以降の実績を使用しています

配当利回り
まずは配当利回りについてです。

SPYDの2022年の配当利回りは4.72%でした。
また、過去7年の平均配当利回りは4.61%で、4.1~5.2%の範囲を推移していることが分かります。
利回りが低い年でも4%を超えるSPYDの配当利回りは、高配当株の中でもかなり高いです。
他の米国高配当ETFと比較しても、SPYDが最も配当利回りが高いです。
⇒【2023年最新】VYM/HDV/SPYDを徹底比較【米国高配当ETF】

個人的に高配当株投資で配当利回りの目安は4%だと考えています。SPYDは常に利回り4%を超える超優秀な高配当ETFです。
増配
次は増配(配当金の増加)についてです。

SPYDの2022年の配当金は1.98ドルでした。
SPYDは増配と減配を繰り返しつつも、配当金は7年間で約1.3倍に成長しています。
SPYDはやや増配傾向に見えますが、安定した増配が出来るかは不透明です。増配の安定性では、VYM、HDVに劣ります。
⇒【2023年最新】VYM/HDV/SPYDを徹底比較【米国高配当ETF】

SPYDは作られて7年ほどしか経っていない、歴史が浅いETFです。今後については予想が難しいですね。
受け取り時期
SPYDは配当金を4回に分けて分配しています。分配時期は毎年3月・6月・9月・12月です。
2023年の権利落ち日*は以下の通りです。
*配当を受け取る権利がなくなる日のこと。この日にHDVを持っていれば配当が受け取れる。
SPYDの株価【成長・下落】
次にSPYDの株価について説明します。
ここでは、株価の成長性と不景気時の下落に分けて、株価の動きを解説します。
株価の成長性
まずは株価の成長性についてです。
下のチャートは過去7年間(2016~2022年)の株価推移です。
SPYDの他に、VTIは市場平均の、VYM・HDVは他の高配当ETFの参考として示しています。

SPYDの過去7年間の株価推移は+46%でした。対して、VTIは+108%、VYMは+71%、HDVは+43%でした。
上のチャートから、SPYDの成長性は市場平均には劣り、他の高配当ETFにはタイミング次第で優劣が変わることが予想されます。
なぜならば、SPYDは株価が他のETFよりも大きく上下するからです。
例)2016年:市場平均すら上回る上昇、2020年:コロナショックでは最も大きく下落 など
SPYDは過去7年間ではVYMよりも成長性が低かったですが、タイミング次第ではVYMに勝ることもあるでしょう。

SPYDは株価の動きが大きい分、買うタイミングが大切です。良いタイミングで買えれば大きなリターンが期待出来ます。
不景気時の下落
続いて、不景気時の下落についてです。景気が悪く、全体的な下落相場のときの値動きを紹介します。
下のチャートは2022年の株価推移です。
SPYDの他に、VTIを市場平均、VYM・HDVを他の高配当ETFとして示しています。

SPYDの2022年の株価推移は-6.37%でした。VTIは-21.63%、VYMは-4.10%、HDVは2.39%でした。
SPYDは不景気時に市場平均を大きく上回るものの、他の高配当ETFよりは低いことが分かります。これもSPYDの株価の動きが大きいからです。
高配当銘柄は下落相場に強いため、高配当ETFはどれも市場平均を大きく上回りました。
⇒【2023年最新】VYM/HDV/SPYDを徹底比較【米国高配当ETF】

SPYDのトータルリターン【配当金+株価上昇】
次にSPYDのトータルリターンについて紹介します。
トータルリターンとは、配当金と株価を合計したリターンのことです。貰った配当金を投資に回したときの値動きを示します。
下の2つのチャートは①過去7年間(2016~2022年)のトータルリターン、②2022年のトータルリターンを示しています。

SPYDの過去10年間のトータルリターンは+102%でした。対して、VTIは+135%、VYMは+113%、HDVは+85%でした。
配当利回りの高さによって、トータルリターンでは株価推移が同じだったHDVを大きく上回っています。

株価推移では同等だったHDVに大きく差を付けました。SPYDの高い配当利回りのメリットが大いに発揮されています。

SPYDの2022年のトータルリターンは-1.69%でした。
市場平均のVTIが20%以上下落する中で素晴らしい成績を収めています。

高配当株は全体的に株価が下がる時に非常に強いです。2022年は高配当株投資の良さが存分に発揮されましたね。
SPYDの特徴まとめ【メリット・デメリット】
これまで紹介した情報を元に、SPYDの主な特徴をまとめました。
高配当ETFの中でも最も配当利回りが高い
SPYDは高配当ETFの中でも最も配当利回りが高いです。
過去7年間常に配当利回り4%以上を維持しており、SPYDの最大のメリットと言えるでしょう。
⇒SPYDの配当金【配当利回り・増配】
現状「持っていれば自動で配当利回り4%以上を維持する資産」となっており、投資する価値は大いにあるでしょう。
高配当を目的とする方には、SPYDは迷いなくオススメすることが出来ます。

個別株で配当利回り4~5%を維持するには、様々な知識やメンテナンスが必要です。SPYDなら管理の手間なく、配当利回り4%以上が実現できます。
株価は成長しているが、成長性はやや低め
SPYDは株価の成長性において、市場平均や他の米国高配当ETFに劣ります。
理由は構成銘柄が配当利回りの高さのみで選定されているからです。
高配当の企業というのは、一般的に今後大きな成長が見込めない企業が多いです。配当によって株価を上げています。
高配当と成長性の両立は非常に難しいです。SPYDは株価は上昇していますが、配当利回りが高いからこそ、大きな成長は見込めないでしょう。

どうしても配当利回りが高いと、成長性に欠けてしまいます。自分の目的に応じて、投資先を選びましょう。
セクターの偏りが大きく、景気の影響を受けやすい
SPYDは金融セクターへの偏りが大きく、景気から大きな影響を受けます。
景気に敏感な金融セクターが4割を占めるSPYDは株価の動きが比較大きいです。
ただし、配当金を目的にSPYDに投資するのであれば、基本的に長く保有し続けることになるため、心配しすぎる必要はありません。
高配当株投資では長期保有が基本。株価は気にしすぎないことが大切です。

値動きの大きさが気になる方はHDVとの同時投資がオススメです。セクターを分散しつつ、どちらも高配当が期待できます。
経費率が0.07%と超低水準
SPYDは運用にかかる経費率が0.07%と非常に安いです。
投資では手数料を最大限小さくすることが非常に重要です。0.1%や0.01%の違いが、何十年後かには大きな差となります。
経費率が安いのは、SPYDが三大運用会社の1つ StateStreet社が運用する巨大ファンドだからです。大きなファンドは手数料を安くなります。
経費率の観点ではSPYDは超優良ファンドであり、強くオススメできる投資先です。

経費率が低いほど、規模が大きく信頼できるファンドです。初心者のうちは経費率0.10%以下のファンドを選ぶことをオススメします。
SPYDへの投資を検討すべき人
SPYDの特徴を踏まえて、SPYDに投資すべき人を紹介します。
個人的な考えも含まれていますが、一つの意見として参考にしていただけたらと思います。

私はHDV,VYM,SPYDに投資をしています。高配当株投資に興味がある方はまずは少額の高配当ETFを購入して、配当金を受け取ってみるのがオススメです。
SPYDへの投資にオススメの証券会社

よし、SPYDに投資してみよう!
そう決意したあなたに、SPYDを売買できるオススメの証券会社を紹介します。
まだ口座を開設していない方はまずは口座開設から始めていきましょう。

ネット証券の口座開設は5~10分で申請が出来ます。まずは気軽に口座開設をしてみましょう。
ちなみに、ETFは1株が購入の最小単位です。SPYDであれば、2023/01/29現在で1株約5,460円(1株$42, 1$=130円換算)です。
リアルタイムのSPYD1株の価格は↑の2つの数字を掛けることで計算できますので、参考にしてください。
まとめ:SPYDは最も配当利回りの高い米国高配当ETF
この記事ではSPYDの内容と特徴について解説しました。
SPYDは配当利回りの高さが魅力の高配当ETFです。高配当ETFの中でも最も高く、年によっては配当利回り5%を超えることもあります。
株価変動が比較的大きいですが、長期保有前提の高配当株投資であれば気にする必要はないでしょう。
SPYDや他の高配当ETFへの投資に興味を持った方で、証券口座を解説していない方がいれば、口座開設から始めましょう。
投資をするかどうか決めていない方でも、口座開設だけはしておくことをオススメします。
証券口座をとりあえずでも持っておけば、思い立ったときに投資がスタートできます。

新しい行動を起こそうという気持ちは長くは続きません。投資も思い立ったときにすぐ始められる準備をしておきましょう。
また、他にも米国ETFについての紹介記事や比較記事がありますので、是非読んでみてください。

