みなさんは高配当ETF「HDV」について理解できていますか?
この記事では、HDVの内容と特徴について、初心者の方向けに解説をしています。
この記事はHDVの基本的な情報を網羅しています。この記事を読むことでHDVに関する基礎はほとんど学ぶことができます。
投資では正しい理解が正しく資産を増やしてくれます。投資を始める前に必ず知識を身に付けましょう。
この記事の要点は以下です。
HDVとは?【基礎知識】
HDVは、アメリカの財務健全で配当も高い75社の株から構成されたETFです。
下の表にHDVの基本的な情報をまとめています。
名称 | iシェアーズ コア米国高配当株ETF iShares Core High Dividend ETF |
運用会社 | BlackRock社 |
設立日 | 2011/03/29 |
ベンチマーク | モーニングスター配当フォーカス指数 Morningstar Dividend Yield Focus TR USD |
銘柄数 | 75 |
経費率 | 0.08% |
純資産 | 約131億USD 2023/01/19現在 |
HDVの正式名称は「iShares Core High Dividend ETF」です。
S&P500の中でも「財務の健全性が高く、持続的に高い配当が支払える75社」に「配当加総額重平均」で分散されたモーニングスター配当フォーカス指数に連動します。
※S&P500:アメリカTOP500社から構成された指数のこと。
HDVに投資をすることでアメリカの高収益・好財務かつ配当が高い75社に分散投資が出来ます。
HDVの内容【セクター・銘柄】
HDVの中身について、構成セクターと構成銘柄に分けて解説します。
構成セクター
HDVを構成する銘柄のセクター(業種)割合は以下のようになっています。

様々なセクターから構成されていますが、上位2つのエネルギー・ヘルスケアで約50%を占めており、割合に偏りが見られます。
構成銘柄
続いて、HDVの構成銘柄について説明します。
下の表は、HDVの構成銘柄TOP10を示しています。
No. | 構成銘柄 | セクター | 割合 |
1 | エクソンモービル | エネルギー | 10.00% |
2 | ベライゾン | 通信 | 6.76% |
3 | シェブロン | エネルギー | 5.85% |
4 | アッヴィ | ヘルスケア | 5.26% |
5 | フィリップモリス | 生活必需品 | 4.54% |
6 | ファイザー | ヘルスケア | 4.50% |
7 | ブロードコム | 情報技術 | 4.34% |
8 | メルク | ヘルスケア | 3.95% |
9 | コカ・コーラ | 生活必需品 | 3.69% |
10 | シスコシステムズ | 情報技術 | 3.54% |
保有比率1位のエクソンモービルは1銘柄で10%を占めており、構成銘柄TOP10の合計保有割合は50%を超えています。
これは配当総額加重平均という方法で保有割合を決めているからです。配当金の支払総額が大きいほど保有割合も大きくなります。
HDVは75銘柄から構成されてますが、保有割合の偏りは比較的大きいです。
HDVの構成銘柄の入れ替え(リバランス)は3ヶ月に1度と高頻度で行われます。銘柄の入れ替え数が多いことでも知られています。

セクター・銘柄の偏りが大きいにも関わらず、実はHDVは下落のリスクが比較的小さいETFなんです。理由は後ほど紹介します。
HDVの配当金【配当利回り・増配】
次はHDVの配当金について、配当金の重要な指標である「配当利回り」と「増配」の2つに分けて紹介します。
下のグラフはHDVの過去10年間(2013~2022年)の実績です。このグラフを元に解説をしていきます。

配当利回り
まずは配当利回りについてです。

HDVの2022年の配当利回りは3.68%でした。
また、過去10年の平均配当利回りは3.69%で、3.4~4.0%の範囲を推移していることが分かります。
3%代後半の配当利回りは、高配当株としては標準的な利回りです。
他の米国高配当ETFと比較するとSPYDには劣りますが、VYMよりは利回りは高いでしょう。
⇒【2023年最新】VYM/HDV/SPYDを徹底比較【米国高配当ETF】

個人的に高配当株投資で配当利回りの目安は4%だと考えています。HDVはあと一歩といったところです。
増配
次は増配(配当金の増加)についてです。

HDVの2022年の配当金は3.72ドルでした。
HDVは過去10年間、ほとんどの年で増配していて、配当金は10年間で約1.7倍に成長しています。
HDVは減配する年もあるものの、ある程度安定した増配が期待出来ます。増配の安定性はVYMには劣りますが、SPYDには勝っています。
⇒【2023年最新】VYM/HDV/SPYDを徹底比較【米国高配当ETF】
受け取り時期
HDVは配当金を4回に分けて分配しています。分配時期は毎年3月・6月・9月・12月です。
2023年の権利落ち日*は以下の通りです。
*配当を受け取る権利がなくなる日のこと。この日にHDVを持っていれば配当が受け取れる。
HDVの株価【成長・下落】
次にHDVの株価について説明します。
ここでは、株価の成長性と不景気時の下落に分けて、株価の動きを解説します。
株価の成長性
まずは株価の成長性についてです。
下のチャートは過去10年間(2013~2022年)の株価推移です。
HDVの他に、VTIは市場平均の、VYMは他の高配当ETFの参考として示しています。
※SPYDは2015年に作られており10年間の比較が出来ないため、含めていません。

HDVの過去10年間の株価推移は+70%でした。対して、VTIは+164%、VYMは+112%でした。
この結果からHDVは市場全体が上昇しているときは、市場平均や他の高配当ETFよりも成長性が低いことが分かります。
HDVは高配当銘柄の中でも財務が健全な超成熟企業から構成されており、伸び盛りの企業と比べると成長しにくいです。

近年は米国株が好調だったので市場平均が大きく成長しています。HDVは中・小型株の成長には及びません。
不景気時の下落
続いて、不景気時の下落についてです。景気が悪く、全体的な下落相場のときの値動きを紹介します。
下のチャートは2022年の株価推移です。
HDVの他に、VTIを市場平均の、VYM・SPYDを他の高配当ETFとして示しています。

HDVの2022年の株価推移は+2.39%でした。VTIは-21.63%、VYMは-4.10%、SPYDは-6.37%でした。
この結果から、HDVは不景気時の下落に強く、市場平均及び他の高配当ETFを上回ることが分かります。
これはHDVが高収益・好財務の企業ばかりから構成されており、不景気に強いからです。
高配当銘柄は下落相場に強いため、高配当ETFは全て市場平均を大きく上回りました。
⇒【2023年最新】VYM/HDV/SPYDを徹底比較【米国高配当ETF】

HDVの「財務健全性が高い」銘柄から構成されている強みが発揮されました。この強みによって、多少のセクター・銘柄の偏りは問題になりません。
HDVのトータルリターン【配当金+株価上昇】
次にHDVのトータルリターンについて紹介します。
トータルリターンとは、配当金と株価を合計したリターンのことです。貰った配当金を投資に回したときの値動きを示します。
下の2つのチャートは①過去10年間(2013~2022年)のトータルリターン、②2022年のトータルリターンを示しています。
※SPYDは2015年に作られており10年間の比較が出来ないため、過去10年間のチャートには含めていません。

HDVの過去10年間のトータルリターンは+143%でした。対して、VTIは+218%、VYMは+190%でした。
高配当によってトータルリターンは株価推移よりも市場平均に近づきましたが、それでも市場平均には及ばない結果となっています。

高配当株投資の最大のメリットは、配当金によって「今の生活を豊かにする」ことが出来ることです。その分、トータルリターンではインデックス投資に劣ってしまいます。

HDVの2022年のトータルリターンは+6.19%でした。
市場平均のVTIが20%以上下落する中で素晴らしい成績を収めています。
他の高配当ETFと比較してもプラスなのはHDVのみであり、HDVの安定性の高さを示す結果となっています。

高配当株は全体的に株価が下がる時に非常に強いです。2022年は高配当株投資の良さが存分に発揮されましたね。
HDVの特徴まとめ【メリット・デメリット】
これまで紹介した情報を元に、HDVの主な特徴をまとめました。
暴落のリスクが低く、弱気相場に強い
HDVは暴落のリスクが低い上、弱気相場で市場平均を上回ることが期待できます。
これはHDVが財務健全銘柄から構成されているから。常に安定して高収益を出せるため株価が悪化しにくいです。
また、リバランスの頻度が高く、銘柄の財務状況に合わせて新陳代謝が素早く行える点もリスクを低減します。
上記の強みから、銘柄の保有割合の偏りは特に問題にならないでしょう。

更なる安定感アップには、SPYDとの同時投資がオススメです。セクターをより分散しつつ、どちらも高配当が期待できます。
安定した配当利回りと増配傾向
HDVは配当利回りが安定しており、今後の増配も期待できます。
HDVは安定して3%代後半の配当利回りを維持しつつ、増配傾向を継続しています。
⇒HDVの配当金【配当利回り・増配】に戻る
長期保有すれば4%以上の配当利回りも狙うのも難しくないでしょう。
配当利回り・増配どちらも平均以上のパフォーマンスが期待できる点はHDVの大きな魅力です。

個人的にはHDVは4%以上の配当利回りを実現する再現性が高い手段だと考えており、実際にHDVに投資をしています。
株価の成長性はやや低め
HDVは株価の成長性において、市場平均や他の米国高配当ETFに劣ります。
理由は構成銘柄のほとんどが成熟した大企業だからです。
この点は株価の安定性ではメリットですが、成長速度が勢いのある中・小型株に劣るというデメリットにもなります。
HDVへの投資を検討するときは、成長性の低さは承知しておきましょう。

成長と高配当を両立することは基本的に出来ません。投資の目的に基づいて何を重視するか考えましょう。
経費率が0.08%と超低水準
HDVは運用にかかる経費率が0.08%と非常に安いです。
投資では手数料を最大限小さくすることが非常に重要です。0.1%や0.01%の違いが、何十年後かには大きな差となります。
経費率が安いのは、HDVが三大運用会社の1つ BlackRock社が運用する巨大ファンドだからです。大きなファンドは手数料を安くなります。
経費率の観点ではHDVは超優良ファンドであり、強くオススメできる投資先です。

経費率が低いほど、規模が大きく信頼できるファンドです。初心者のうちは経費率0.10%以下のファンドを選ぶことをオススメします。
HDVへの投資を検討すべき人
HDVの特徴を踏まえて、HDVに投資すべき人を紹介します。
個人的な考えも含まれていますが、一つの意見として参考にしていただけたらと思います。

私はHDV,VYM,SPYDに投資をしています。高配当株投資に興味がある方はまずは少額の高配当ETFを購入して、配当金を受け取ってみるのがオススメです。
HDVへの投資にオススメの証券会社

よし、HDVに投資してみよう!
そう決意したあなたに、HDVを売買できるオススメの証券会社を紹介します。
まだ口座を開設していない方はまずは口座開設から始めていきましょう。

ネット証券の口座開設は5~10分で申請が出来ます。まずは気軽に口座開設をしてみましょう。
ちなみに、ETFは1株が購入の最小単位です。HDVであれば、2023/01/24現在で1株約13,650円(1株$105, 1$=130円換算)です。
リアルタイムのHDV1株の価格は↑の2つの数字を掛けることで計算できますので、参考にしてください。
まとめ:HDVは安定性の高い高配当ETF
この記事ではHDVの内容と特徴について解説しました。
HDVは財務健全な構成銘柄による高い安定性に特徴を持った高配当ETFです。暴落リスクが低く、弱気相場では特に強さを発揮します。
また、配当もまずまずの水準で安定しており、増配を加味すると4%以上の配当利回りも狙うことが出来ます。
HDVや他の高配当ETFへの投資に興味を持った方で、証券口座を解説していない方がいれば、口座開設から始めましょう。
投資をするかどうか決めていない方でも、口座開設だけはしておくことをオススメします。
証券口座をとりあえずでも持っておけば、思い立ったときに投資がスタートできます。

新しい行動を起こそうという気持ちは長くは続きません。投資も思い立ったときにすぐ始められる準備をしておきましょう。
また、他にも米国ETFについての紹介記事や比較記事がありますので、是非読んでみてください。

